

監督:ビルグーン・チュルーンドルジ
脚本:プレブジャルガル・エルデネビレグ、ビルグーン・チュルーンドルジ、バザラグチャー・ビャンバジャヴ
プロデューサー:ツァルス・フーフディン・ズスラン、ハク・メディア、トレンド・アーティスト
撮影:スフバータル・チュルーンバータル
音楽:ビンバツォクト・ナンディウスレン
出演:プレブジャルガル・エルデネビレグ、ビルグーン・チュルーンドルジ 、バザラグチャー・ビャンバジャヴ、ビャンバスレン・ブムバヤル、ツェングーン・チンギス
日本語字幕:松本清貴
字幕監修:河合のび
宣伝:KKミュージック(加賀谷健)
宣伝デザイン:脇原由利香
配給:Cinemago × マグネタイズ
作品データ:2024/モンゴル/モンゴル語/83分/G
原題『Z ZONE』
(C)Future Film Mongolia Production/Cinemago/Magnetize
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NEWS

INTRODUCTION
ゾンビも走らなければ凍ってしまう......。
日本初上陸のモンゴル・ゾンビ映画トリロジー第1弾!
摂氏マイナス40度・極寒の雪原を舞台に、《社会のクズ》扱いを受けてきた若者たちが、軍の矯正施設で《ゾンビ》と遭遇。生き残りをかけた逃亡へと駆り立てられる姿を描いた日本初上陸のモンゴル・ゾンビ映画『獄舎Z』。
元社会主義国であり、現在も政治不信が若者たちの心に根付くモンゴルの社会的背景を反映した本作。コメディ作品からスリラー作品まで、モンゴルの映画界で活躍する監督・脚本のビルグーン・ チュルーンドルジは、監督自身の少年矯正施設での勤務経験をキャラクター造形に盛り込む。監督曰く「2回の挫折・2回の成功」の構成で登場人物の精神的成長を丁寧に描写した。
「ゾンビも走らなければ凍ってしまう」という極寒のモンゴルらしい発想から生まれた画期的ゾンビ映画『獄舎Z』は、モンゴル国内の他、ヨーロッパや中南米で高い評価を獲得し、2025年には本作の続編となるシリーズ作品の撮影が開始予定。拡大するモンゴリアン・ゾンビの世界観の 《序章》を描いた『獄舎Z』が、日本初上陸で注目が高まり続けている。
STORY
モンゴルの首都・ウランバートルから遠く離れた、雪原を走るバス。
バスに乗るのは社会の規律に反抗し、《クズ》の烙印を押された若者たち。軍人たちに拘束・連行された彼ら彼女らは、謎に満ちた収容所へと辿り着く。
社会復帰訓練という名の下、《犬》と呼ばれ、理不尽な扱いを受ける入所者たち。
しかし収容所の闇に潜んでいたのは、誰も予想しなかった秘密と陰謀、そして生ける屍人《ゾンビ》だった......。
モンゴルの極寒の雪原を舞台に、ゾンビたちが暴れ出す!

REVIEW
冨栄ドラム(俳優)
モンゴルならではの壮大な景色から一気に映画の世界観に入り込んだ。更生施設の若者たちが助け合っていくのがいい。スリルあるアクションは目が釘付けになる。 ラストは色々と想像が膨らんで余韻を楽しめるので、おススメ。
千浦僚(映画文筆家)
本作はモンゴルを打ち破り抜け出すことと、その地を慈しみ誇ることを同時進行させる。それがビルグーン・チュルーンドルジ監督らの世代の主題なのか。それが渦巻き、滲む本作を美しく力強い映画だと感じる。
渡部実(映画評論家)
コロナを克服したモンゴル人にとって、ゾンビはゾンビ以上の意味がある。つまり外国人が発想できなかった、より高度な社会的、政治的なメタファーとしての意味を持つゾンビではないか。ゾンビの存在が監督の確かな映画言語となっている。
糸魚川悟(映画ライター)
極限の状況下で繰り広げられる、命を懸けた矯正への旅路。善悪の基準が分からない少年少女たちが、ゾンビという脅威を目にすることで初めて「命」と向き合うこととなる本作は単なるゾンビ映画には収まらない魅力があります。
常に自然と相対し、自然の恐ろしさを知るモンゴルで製作されたからこそ日本やハリウッドとは異なる死生観が目新しくも面白い、ゾンビ映画ファンの必修科目にしたいほどでした。
出町光識(ディストリビューター)
映画とは《逃げの美学》である。つまりは走ることが初期衝動であり、サイレント時代をチャップリンが走り、60年代には名作『暴力脱獄』が走り、アメリカン・ニューシネマの代表作においては『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』が最も走った。人間とは常に《積極的逃避》を試みて走り逃げるもの。これらの要素がコンパクトに『獄舎Z』にはある。

DIRECTOR
【PROFILE】
2013年にアメリカ・ハワイへ渡り、CBS制作ドラマ『HAWAII FIVE-O』第3シーズンに撮影スタッフとして参加。2014年には職業訓練プログラムの一環として、米国シカゴのキャデラックパレスとブロードウェイ劇場で演出を学ぶ。2016年以降、複数のドキュメンタリー映画、日本・韓国合作作品の制作に参加し、2020年に『Berkh Shagai(原題)』にて長編 劇映画監督デビュー。2024年に『獄舎Z』を発表し、現在は同作のシリーズ続編企画を制作中。
【INTERVIEW】
──モンゴル映画と聞いてすぐにイメージするものといえば、中央アジアの草原風景など自然豊かなロケーションです。ビルグーン監督は環境に配慮する映画制作を意識しているそうですが、その哲学は『獄舎Z』の制作にどのように取り入れられているのでしょうか。
ビルグーン:モンゴル人は古くから自然と故郷を愛しながら崇拝してきました。『獄舎Z』では、「母なる自然」「地球との適切な関係」「軍隊の教訓」といったテーマを取り上げています。
本作を制作する上で具体的には、自然や木々を破壊しないことなど、自然と人間の領分を尊重した関係を理解するという前提があります。民族的な精神をモットーに、環境への影響を最小限に抑えた映画制作を行いました。
──自然環境への影響を考慮した撮影過程で、最も困難だったことは何でしょうか。また、その課題をどのように克服しましたか。
ビルグーン:冬の撮影は、摂氏マイナス40度の中で行われました。私たち制作陣にとって非常に厳しい環境でした。そんな過酷な環境下で、モンゴル映画にとって全く新しいテーマとして新規軸ジャンルのホラー映画を制作したのです。
撮影前の準備段階では、極寒の森の中でのロケーション撮影に備え、徹底したリサーチと計算を重ねました。厳しい条件下での屋外撮影でも約3ヶ月にわたり一丸となって映画制作に努めることができたのは、俳優、そして撮影スタッフたちが最初から心構えができていたからでもあります。これは私たちモンゴルの映画人にとって最大の強みだと思います。
実際の撮影現場では、より多くの忍耐力、緻密な作業、高度なプロフェッショナリズムが要求されました。例えば、映画にとって重要な撮影機材であるカメラや照明が凍結して動かなくなったり、俳優が寒さで身も凍る思いを強いられました。通常の撮影なら可能であるはずのリテイクを2、3回行う余裕すらありません。これらのリスクを十分計算して準備を整えたことで、私たちのクルーは、課題を乗り越え、クランク・アップすることができました。
──雪原という厳しい状況下で俳優をどのように演出しましたか。
ビルグーン:俳優たちは、柔軟な動き、高度なジャンプ、格闘技など、観客の目を純粋に楽しませるスキルを備えた、軽技の専門家でした。
その上で、サンフォード・マイズナーが考案した演技メソッドを駆使しました。俳優自身の内側ではなく、相手との関係性において運動を生じさせるといった彼の方法論が相乗効果になって、俳優たちの演技がダイナミックになったと思っています。
──登場人物たちもロケーションの影響を受けていますか。
ビルグーン:モンゴルの寒冷的な気候が、登場人物たちを厳しい状況下に追い込んでいきます。極寒の森の中で一人逃げる。危険に満ちた極限の行動です。にもかかわらず、彼らは行動する。それによって本作の物語自体が、困難な状況へと展開していくのです。
各キャラクターが心理的崩壊をいかにして自分の強みに変え、予測不能な状況の中でも団結して共に戦うことができるか。脚本では、挫折と成功を繰り返させながら、課題に直面した時に初めて強く闘い抜くという人間の普遍的な本質をキャラクターに盛り込みました。
──ビルグーン監督は、少年院音楽隊での勤務経験があるそうですが、本作のメイン舞台である監獄に収監されている“問題を抱えた若者たち”は、監督の経験に基づいて造形されたのでしょうか。
ビルグーン:少年更生施設での勤務経験が、本作のキャラクター造形に影響を与えたことは確かです。例えば、敵役のキャラクターであるタイルダスは、実在の人物をモデルにしています。
重要なのは、物語設定です。旧社会主義社会のステレオタイプを意図的に登場させています。時代遅れな形で映画に導入することで、現代社会に対する問いかけを試みました。
そうした体制下で、18歳から20歳の若者たちが経験不足による過ちを行ったからとはいえ、すぐに重大な犯罪者と見なし、刑務所に送られるべきなのでしょうか。それとも彼らに第2のチャンスを与え、軽い実刑で社会復帰を促し、若い世代を支援する意味で人権を尊重して更生させるべきなのか。これが本作を制作した重要かつ大切なテーマなのです。
──そうしたメッセージ性をゾンビ映画として集約させたところに、ホラー映画としての意図があるわけですね。
ビルグーン:ゾンビというキャラクターは、世界的トレンドとなるホラー映画ブランドのひとつです。凶暴なゾンビが発生するという非常事態、厳しい自然環境にあるモンゴルという地域で、極寒の時期を生き抜くモンゴル人の心構えや行動にどのような影響を与えるのか。また、草原という自然環境で暮らすモンゴル人がゾンビからどのように生き延びるのか。このモンゴルならではの設定とゾンビをかけ合わせた設定に興味があり、ジャンル映画の題材を選びました。
日常的に野生動物や家畜と接するモンゴル人はゾンビに対する恐怖心が比較的少ないのではないかと仮説を立てました。モンゴルでは人口が少ないため、ほとんどの人たちがお互いに顔見知りであることも多い。ゾンビを即座に退治するのではなく、治療を試みる可能性すらあるかもしれない。民族らしい特徴があるゾンビ映画かもしれません。
モンゴル初のゾンビ映画『獄舎Z』が描く“雪原のゾンビ”というテーマによって、観客の皆さんに問いかけたいと思っています。

脚本・監督:ビルグーン・チュルーンドルジ
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